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サブリース解除

「保証家賃を減額された挙句、解約拒否&家賃未払い!?」サブリース業者の不当な主張を打ち破り勝訴した事例を弁護士が解説!

「借地借家法があるから解約できないのでは…」と不安になるかもしれませんが、決して諦める必要はありません。 今回は、業者が相次ぐ家賃減額を行った末に更新拒絶を争い、保証賃料の支払いを拒否したトラブルにおいて、オーナー側が正当事由を認めさせ、未払賃料や預かり敷金の返還まで勝ち取った事例(東京地判 平成15年3月21日)を分かりやすく解説します。

公開日 2026年10月14日監修:甲斐伸明 弁護士

こんにちは、弁護士の甲斐伸明です。

「所有物件を売却したいので、今の入居者が退去したら次の募集を止めてサブリースを解約したい」――そう業者に伝えていたにもかかわらず、業者側が無視して勝手に次の入居者を募集・契約してしまい、解約を拒否されたというご相談をよく受けます。

サブリース業者は、「入居者が入ったから解約できない」「正当な理由がない」などと主張して居座ろうとしますが、このような強引なやり方が裁判で当然に通用するわけではありません。

今回は、業者がオーナーの募集停止要請を無視して勝手に新しい入居者を入れた事案において、立退料50万円の支払と引換えにサブリース契約の終了と「指図による占有移転」を認めさせた裁判例(東京地判平成27年8月5日・判例時報2291号79頁)を分かりやすく解説します。

1. どんなトラブルだった?(事案の概要)

本件の原告は、亡くなった子から賃貸物件を相続した個人オーナーです。被告は、家賃保証(満室保証)を行うサブリース業者でした。

サブリース契約(満室保証付き)は子の生前の平成15年に締結されたもので、オーナーは相続後の平成21年に、期間4年(平成26年1月4日満了)・保証家賃月額10万円の条件で更新していました。この契約には、①期間満了の6か月前までに書面で終了を通知した場合、業者は入居者の募集活動を中止する(第22条4項)、②契約が終了したときはオーナーが入居者に対する業者の地位を引き継ぐ(第19条)、という条項がありました。

オーナーの自宅は築60年を超える老朽化した木造草ぶき平家建てであり、補修や改築のためにまとまった資金を必要としていました。そのため、オーナーは「サブリース物件を可能な限り高額で(=空室の状態で)売却したい」と考えていました。

そんな折、当時の入居者(転借人)が退去することになり、平成25年5月頃、業者から連絡が入ります。

絶好のタイミングだと考えたオーナーは、契約条項に基づき、期間満了(平成26年1月4日)の6か月以上前に、書面(平成25年5月28日付・同年6月18日付の2通)で、業者に対し次のように通知しました。

  • 「契約期間満了をもってサブリース契約を更新しない」
  • 「現入居者の退去後は自分が使用するので、次の入居者は募集しないでほしい」

【業者の強引な対応】 ところが、サブリース業者はこの通知を無視し、入居者が退去(平成25年6月24日頃)してからわずか3週間後の7月15日、別の新しい入居者と賃貸借契約を締結して部屋を引き渡してしまったのです。

そして契約満了日を迎えると、業者は「更新拒絶には借地借家法28条の正当事由がないから、契約は自動更新された」と主張して契約の終了を認めなかったため、オーナーが裁判を起こすに至りました。

2. 裁判で争われたポイント

主な争点は次のとおりです。

  • サブリース契約にも借地借家法28条(更新拒絶には「正当事由」が必要)が適用されるか(オーナー側は、サブリースであることや「6か月前までの書面通知で終了する」旨の契約条項を理由に、適用されないと主張しました)
  • 「老朽化した自宅の改築資金を作るために空室で売却したい」というオーナーの事情や、募集停止要請を無視して新入居者を入れた業者の行為を踏まえ、正当事由が認められるか
  • 業者の募集強行が契約違反(債務不履行)にあたり、契約を解除できるか(予備的主張)
  • 契約終了後に業者が支払うべき賃料相当損害金の額

3. 裁判所の判断〜なぜサブリース契約の終了(指図による占有移転)が認められたのか?〜

裁判所は、サブリース契約も建物の賃貸借契約である以上、借地借家法28条が当然に適用され、「6か月前の通知で終了する」旨の条項を正当事由不要の特約と見ることは同法30条に反し許されないとした上で、オーナー側の正当事由を認め、立退料50万円と引換えに、期間満了によるサブリース契約の終了を認めました。

なお、オーナー側が予備的に主張した「募集停止義務違反を理由とする契約解除」については、業者の行為は契約違反(債務不履行)にあたるとしつつも、当時は立退料の申出がなく正当事由が備わるか流動的だったこと等から、信頼関係を破壊しない特段の事情があるとして、解除は認められませんでした。本判決は「解除」ではなく「期間満了(更新拒絶)による終了」を認めたものです。

裁判所が下した判断のポイントは以下の通りです。

① オーナー側の経済的事情・売却の必要性を考慮

裁判所は、オーナーに「本来的な意味での自己使用の必要性」があるわけではないとしつつ、自宅の補修・改築資金を捻出するため物件を占有負担のない形で(できるだけ高く)売却する必要があり、入居者が退去するこのタイミングで契約を終了させる「強い必要性」があったと認めました。ただし、この事情だけで正当事由が満たされるとまではしていません(⑤参照)。

② 業者の契約違反(募集強行)はオーナーに有利な「従前の経過」

オーナー側が契約満了の6か月以上前に「更新拒絶」と「次の募集停止」を書面で通知していたにもかかわらず、業者がこれを無視して新たな転貸借契約を締結した行為は、募集活動の中止を定めた契約条項(第22条4項)に反する「契約違反行為」とされました。そして、その結果オーナーが新入居者との賃貸借を引き受けざるを得なくなったことは、オーナーの必要性を弱めるものではなく、むしろ「賃貸借に関する従前の経過」としてオーナーに有利に斟酌すべきと判断されました。

③ 業者側の必要性は「転貸差益」にすぎない

業者が物件を使用する必要性は、転貸して経済的利益を得ることに尽き、その額は月額3万3000円(転貸賃料13万3000円-保証家賃10万円)にすぎないため、契約が終了しても業者の経営に影響を及ぼすような重大な不利益は生じないとされました。

④ 入居者(転借人)の保護は図られている

サブリース契約が終了しても、契約の定め(地位承継条項)により、オーナーが入居者との直接の賃貸人地位を引き継ぐことになります。そのため、現実に住んでいる入居者が追い出されるわけではなく、居住権はしっかり守られます。このため裁判所は、正当事由の判断にあたり入居者側の事情を考慮する必要はないとしました。

⑤ 立退料50万円での正当事由の補完

以上の事情を総合し、オーナー側の必要性だけでは足りない部分を補うものとして、立退料50万円の支払と引換えに、業者からオーナーへの「指図による占有移転」(入居者に対する返還請求権の譲渡および通知)を命じる判決を出しました。

なお、オーナー側は当初、転貸差益の6か月分にあたる19万8000円を立退料として提示しつつ、「裁判所が相当と認める額」も支払う旨を申し出ており、裁判所はこれを上回る50万円を相当と判断しました。また、契約は期間満了日に終了したとされ、業者は、期間満了の翌日から指図による占有移転の通知まで、転貸賃料と同額の月額13万3000円を賃料相当損害金として支払う義務を負うとされました(期間満了後に支払済みの保証家賃分は控除)。

4. この判例から不動産オーナーが学ぶべき実務上のポイント

本判決は、サブリース業者との解約交渉において非常に役立つ実務的ポイントを示しています。

ポイント1:退去時の「募集停止要請」は書面で明確に残す

  • 本件では、契約書に「更新拒絶の通知後は募集活動を中止する」旨の条項があり、期間満了の6か月以上前に書面で通知していたことが、業者の契約違反を基礎づけ、正当事由の判断でもオーナーに有利に働きました。まずはご自身の契約書に同様の条項があるかを確認し、通知は内容証明郵便など、内容と到達日を証明できる方法で行いましょう。

ポイント2:「自己居住」だけでなく「売却・資金調達の必要性」も正当事由の考慮要素になる

  • 「自分で住むわけではないから解約できない」と思い込む必要はありません。本件のように、占有負担のない状態で売却する必要性(資金需要)も、正当事由の判断で考慮されます。ただし、それだけで正当事由が満たされるわけではなく、立退料による補完が前提となった点には注意が必要です。

ポイント3:「指図による占有移転」で入居者に迷惑をかけずにサブリースを終了できる

  • サブリース契約が終了しても、入居者を退去させる必要はありません。本件では、オーナーが入居者に対する貸主の地位を引き継ぐ(ダイレクト契約に切り替わる)ことを前提に、裁判所は建物の「明渡し」ではなく「指図による占有移転」を命じました。これにより、入居者の暮らしを守りつつ、サブリース業者だけを外すことができます。

ポイント4:契約書の「6か月前通知で終了」条項だけでは足りない

  • サブリース契約にも借地借家法が適用されるため、契約書に「期間満了の6か月前までに通知すれば終了する」と書かれていても、オーナーからの更新拒絶には正当事由が必要です(同法28条・30条)。正当事由の主張・立証と、相当な立退料の準備をセットで考えることが重要です。

5. まとめ

サブリース業者が「次の入居者が入ったから解約できない」「借地借家法がある」と言ってきても、あきらめる必要はありません。

業者側の強引なやり方や、オーナーご自身の経済的事情・売却の必要性を論理的に主張・立証することで、相当額の立退料と引換えにサブリース契約を終了させる可能性があります。

もっとも、同じ東京地裁でも、オーナーが立退料の申出をしていたにもかかわらず正当事由が否定された例(東京地判平成30年9月28日)もあり、結論は個々の事情に大きく左右されます。

強引なサブリース業者やお困りのトラブルについては、一人で悩まず、早期に、サブリース問題を取り扱う弁護士にご相談ください。

お問い合わせはこちらから→https://sublease-navi.com/

執筆:甲斐 伸明

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監修者

甲斐伸明 弁護士(東京弁護士会)

弁護士法人SOLLIEVO法律事務所

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案に対する法的助言や解決を保証するものではありません。